イラスト作成/まぁぶー→ストーリー追加/emiglia
「ううう~・・・ダメだ・・・上手く書けないや」
そう言って悔し気な顔をする姉貴には、たすき掛けした着物姿がよく似合う。
綺麗に結い上げられた髪と、そこに揺れる髪飾りが、逆になんだかアンバランスで、俺は思わず本音を口にしてしまった。
「姉ちゃん、どっちかっていうと、かんざしよりハチマキだな・・・」
ボソッとそう呟くと、姉貴は睨めっこしていた半紙から眼を外し、こちらをギラりと睨みつけてきて「うるさいっ!も~集中してるんだから邪魔しないでよ!」と一喝した。
「へいへい・・・」
そう言う俺の背後から、母親が顔を出し「あ!ちょっと!お着物、墨で汚さないでちょうだいね!」と釘をさした。
「正月ぐらい、おしとやかに、お着物着て書き初めでもしたらど~お?って言ったのは誰よ!もうっ!着物だと書きにくいったら」
姉貴はぷんすか怒っている。
上品な着物と、煌びやかなかんざしと、可憐な帯留めと、しとやかな要素が三拍子揃っているというのに、着ている本人が悪態をつきながら「亥」の文字を書くのに奮闘しているのはなかなか滑稽だった。
俺は、しかし、姉貴と早く凧揚げで遊びたく、書き初めが終わるのを今か今かと待ちかねているのだった。
オリジナルイラスト/ まぁぶー
アニメや漫画のキャラクターに「こんな表情をさせたい!」と、模写したことがきっかけで絵を描き始めて約10年。 クールな(物憂げな?)目をした黒髪の少年少女が大好きで得意。「かわいいなぁ」「カッコいいなぁ」という感想だけで終わらない、何かを感じ取れるようなストーリー性を大切にした絵作りを心がけている。 現在Vtuber制作サイト「ORION」と提携し、Live2Dでイラストを動かすお仕事も受注中。 Twitter@maaboo1007
ストーリー追加/emiglia
Webライター、職業音楽家(ピアノ演奏音源作成、作編曲、他)
現在は主に「ココナラ」にて、ライティング系、音楽系の多数のスキルサービスを出品中です。
Twitter @emiglia_coco